● ロクイチ報告をきっかけに

ロクイチ報告をきっかけに見直したい
障がい者雇用の進め方

ロクイチ報告の時期が近づくと、提出そのものだけでなく、法定雇用率への対応この先どう進めていくべきかまで気になってくる企業さまも多いのではないでしょうか。この記事では、ロクイチ報告の基本を押さえたうえで、その後の障がい者雇用をどう考えるかを整理しています。

一般に「ロクイチ報告」と呼ばれているのは、高年齢者雇用状況等報告および障害者雇用状況報告のことです。ここでは主に、障害者雇用状況報告をきっかけに、その先の進め方を考えていきます。

この記事で見ていくこと
・ロクイチ報告の基本
・法定雇用率と対象企業
・障がい者のカウント方法と労働時間
・提出後に企業が考えたいこと
・就労サテライトという選択肢
ロクイチ報告をきっかけに見直したい障がい者雇用の進め方
まず全体像を見たい方へ
就労サテライトの仕組みや支援体制を先に確認したい場合は、こちらのページをご覧ください。

目次
  1. ロクイチ報告とは
  2. 法定雇用率と対象企業
  3. ロクイチ報告では何を報告するのか
  4. 障がい者のカウント方法と労働時間の考え方
  5. 提出先・提出方法・見落としやすいこと
  6. ロクイチ報告は“提出して終わり”ではない
  7. 障害者雇入れ計画書とは
  8. ロクイチ報告の後、多くの企業が悩みやすいこと
  9. 障がい者雇用の進め方にはいくつかの選択肢がある
  10. 社内だけで進めにくい企業が見直したいポイント
  11. 進め方の一つとして、就労サテライトという考え方
  12. 障がい者雇用は「義務」ではなく、設計です
  13. よくあるご質問

1. ロクイチ報告とは

まずは、ロクイチ報告の基本を確認しておきましょう

ロクイチ報告では、高年齢者雇用状況等報告書と障害者雇用状況報告書を提出し、高年齢者および障がい者の雇用に関する状況を報告します。障がい者雇用については、毎年6月1日現在の状況を、本社所在地を管轄するハローワークに報告することが義務づけられています。

押さえておきたいポイント
  • ロクイチ報告は、企業の現状を把握するための手続きです。
  • 対象企業には、報告用紙が郵送で届くことがあります。
  • 行政はこの報告をもとに、雇用率の集計や指導、支援策の検討を行います。

2. 法定雇用率と対象企業

まず確認したいのは、うちが対象かどうかです

障がい者におけるロクイチ報告の対象となるのは、法定雇用率が適用されるすべての民間企業です。制度改正により対象範囲は広がっているため、今の基準だけでなく、今後の見直しも見ておくことが大切です。

現在の基準

2024年4月:法定雇用率 2.5%

常時雇用する労働者数 40.0人以上 の事業主が対象です。

今後の見直し

2026年7月:法定雇用率 2.7%

対象範囲は 37.5人以上 に広がります。

見落としやすい点
1人でも障がい者雇用の義務がある事業主は、実際の雇用障がい者数が0人であってもロクイチ報告を行う必要があります。

3. ロクイチ報告では何を報告するのか

報告する内容は、数字だけではありません

障害者雇用状況報告書では、主に次の内容を記載します。雇用障がい者数だけを見るのではなく、常用労働者数実雇用率の整理も必要です。

  • 事業主の情報:雇用保険適用事業所番号、所在地、代表者名など
  • 障害者雇用の状況:常用労働者数、雇用障がい者数、実雇用率など
  • 推進体制:障がい者雇用推進者名など
  • 算定の根拠となる情報:労働時間や雇用見込みなど

4. 障がい者のカウント方法と労働時間の考え方

人を数えるだけではなく、働き方も見ていく必要があります

障害者雇用状況報告書で特に注意したいのが、障がい者のカウント方法労働時間の考え方です。ここを誤解すると、人数の把握や実雇用率の計算を誤りやすくなります。

常用雇用労働者数の考え方

常用雇用労働者数に含まれるのは、1週間の労働時間が20時間以上で、1年以上雇用される見込みのある人です。なお、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者は、短時間労働者として1人につき0.5人で算定します。

雇用障がい者数の考え方

雇用障がい者数は、障がい者手帳を保持している労働者の人数を、カウントルールに則って数えます。実務では、労働時間障害区分によって扱いが変わるため、そこを確認しながら整理することが大切です。

記事内で押さえておきたい見方
  • 週30時間以上か、20時間以上30時間未満かで算定の考え方が変わる
  • 短時間勤務でも対象になるケースがある
  • 人数だけでなく、労働時間も含めて見ないと判断を誤りやすい

5. 提出先・提出方法・見落としやすいこと

提出そのものにも、いくつか注意点があります

ロクイチ報告は、本社所在地を管轄するハローワークに提出します。電子申請、郵送、持参などの方法がありますが、数字の確認やカウント方法に誤りがあると、その後の対応まで影響することがあります。

  • 提出先は本社所在地を管轄するハローワーク
  • 電子申請のほか、郵送や持参での提出が案内されている
  • 6月1日時点の数字をもとに整理する必要がある
  • 特に注意したいのは、障がい者のカウント方法週所定労働時間の扱い

6. ロクイチ報告は“提出して終わり”ではない

大切なのは、提出そのものよりも、その後どう向き合うかです

ロクイチ報告は、現状を把握するための大切な手続きです。ただし、企業に求められているのは、報告書を提出することだけではありません。法定雇用率への対応や、改善に向けた取り組みが進まなければ、行政指導の対象となることもあります。

ここで見ておきたいこと
ロクイチ報告は、提出して終わりの事務作業ではなく、障がい者雇用をどう進めていくかを考える入口でもあります。制度はすでに動いており、問題は「どう向き合うか」です。

7. 障害者雇入れ計画書とは

未達が続くと、その後の対応が必要になることがあります

法定雇用率が達成できず、一定の基準を超えると、ハローワークから障害者雇入れ計画書の作成・提出が命じられることがあります。これは今後2年間の障がい者雇用の計画を記入するもので、提出して終わりではなく、一定期間チェックが入ります。

こうした流れにつながることがあります

  • 障害者雇入れ計画書の作成・提出
  • 雇入れ計画の適正実施勧告
  • それでも改善が見られない場合、企業名公表

つまり、ロクイチ報告は提出そのものより、その後の改善をどう進めるかが問われる制度でもあります。

8. ロクイチ報告の後、多くの企業が悩みやすいこと

進めようとすると、別の難しさが見えてきます

ロクイチ報告をきっかけに障がい者雇用を考え始めても、実際には数字の確認だけでは進まないことが少なくありません。多くの企業がつまずくのは、意欲の問題というより、進め方の構造にあります。

求人を出しても応募が来ない

一般採用でも採用難が続くなかで、障がい者雇用でも母集団形成に苦戦することがあります。

障がい者雇用の知識がなく不安

何に配慮すべきか、どこまで対応すればよいのかが分からず、社内で判断が止まりやすくなります。

雇ってもすぐに辞めてしまう

採用そのものより、雇用後のフォローや日々の変化への対応で難しさを感じる企業も少なくありません。

社内でどう進めるべきか迷いやすい

制度のことは分かっても、実際に何から始めるべきか、どの形が自社に合うのかが見えにくいことがあります。

9. 障がい者雇用の進め方にはいくつかの選択肢がある

大切なのは、どこまでを自社で抱え、どこを外に出すかです

障がい者雇用の進め方は一つではありません。どれが正しいかではなく、自社に合った進め方をどう選ぶかが重要です。

代表的な進め方
① 自社就労(社内完結)
雇用・配慮・定着までを社内で担う王道の形です。
② 在宅就労
雇用は自社のまま、働く場所を離して進める方法です。
③ 特例子会社
専門組織として雇用を分ける、大企業向けの選択肢です。
④ 外部環境を活用した就労
雇用は自社のまま、就労環境や支援体制を外部と連携して進める考え方です。
⑤ 納付金対応
未達分を金銭面で処理する方法ですが、根本的な雇用課題は残ります。

10. 社内だけで進めにくい企業が見直したいポイント

続かない理由は、人ではなく“支える構造”にあることもあります

「雇ったけれど続かなかった」というケースでは、能力や意欲の問題ではなく、雇用後を支える仕組みが足りていないことがあります。問題は突然起きるのではなく、日々の小さな変化の積み重ねとして現れることが多いためです。

変化に早く気づけるか

体調・気分・集中力などの変化は少しずつ現れます。小さな変化を拾える仕組みがあるかどうかで、定着のしやすさは大きく変わります。

本人・現場・会社の認識がズレないか

現場は問題ないと思っていても、本人は無理をしていることがあります。ズレを早めに揃えられるかが重要です。

小さいうちに調整できるか

問題が大きくなってからではなく、早い段階で業務量や時間、環境を微調整できる余地があることが、続く雇用につながります。

11. 進め方の一つとして、就労サテライトという考え方

外部環境を活用した就労の一例として、就労サテライトがあります

就労サテライト相関図

就労サテライトは、雇用契約は企業とご本人が結んだまま、就労環境日常的な支援を外部のサテライトオフィスと連携して進める方法です。社内だけで抱え込まず、採用から定着までを段階的に考えやすくなります。

就労サテライトでできること

  • 就労環境が整ったオフィスで勤務できる
  • 就労支援員が日々の定着支援を行える
  • 企業と就労者の間に入り、状況共有や調整をしやすくなる
  • 切り出し業務を含めた業務設計を整理しやすくなる
就労サテライトで依頼しやすい業務例

こうした企業に向きやすい方法です

社内だけで受け入れ体制を整えるのが難しい、定着まで見据えた進め方を考えたい、という企業にとっては整理しやすい方法の一つです。

サテライトオフィスの就労風景

就労環境や支援体制が見えると、運用のイメージが持ちやすくなります。

12. 障がい者雇用は「義務」ではなく、設計です

制度はすでに動いています。問題は、どう向き合うかです

  • 制度はすでに動いている
  • お金の流れも決まっている
  • 問題は「どう向き合うか」

障がい者雇用は、義務として受け止めるだけでなく、どう設計するかで負担感も結果も変わってきます。今日は「こんな選択肢もあるんだ」くらいで持ち帰っていただくだけでも十分です。

よくあるご質問

ご相談の前によくいただくこと

ロクイチ報告の対象企業に当てはまるか、まだよく分かっていません

対象になるかどうかは、常時雇用する労働者数や制度改正のタイミングによって判断が必要です。まずは現状を整理しながら確認していくことができます。

任せられる仕事が、あまり思い浮かばないのですが大丈夫ですか?

はい。最初から特別な仕事を用意しておく必要はありません。現在の業務の中から、継続しやすい内容や進めやすい業務を整理しながら考えていくことができます。状況をお伺いしたうえで、こちらからご提案できることもありますので、まずは「何ができるか分からない」という段階からでも大丈夫です。

就労サテライトは、すべて任せきりにできますか?

企業さまの手間を大きく減らしながら進めやすくなる一方で、完全に放置できる仕組みではありません。雇用主は企業さまであり、ご本人との関係づくりはとても大切です。就労サテライトは、必要な支援や運用面を外部と連携しながら進めつつ、企業と雇用者のつながりも保っていく方法としてお考えいただくのが近いです。

障がい特性のことがよく分からず、何が起こるのか不安です

そう感じられる企業さまは少なくありません。就労サテライトには、障がい特性を理解した支援員が常駐しており、日々の様子を見ながら必要な支援や調整につなげていくことができます。最初から企業さまだけで抱え込まずに進められる点も、安心材料の一つです。

就労サテライトは法定雇用率の対象になりますか?

法定雇用率の算定は、雇用契約の形だけでなく、所定労働時間などの条件も含めて確認する必要があります。たとえば、雇用率制度では週所定労働時間によってカウントの扱いが異なるため、実際の運用条件を踏まえて整理することが大切です。

● お問い合わせ

まずは、今の状況を整理するところから

ロクイチ報告をきっかけに、障がい者雇用の進め方を見直したい企業さま向けのご相談導線です。いきなり導入を決めるのではなく、自社に合う進め方かどうかを確認するところから始められます。

状況を整理しながら相談する
まず全体像を見たい方へ
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